特集
<Q&A形式>
今回のテーマは「病院で処方された小児のお薬」です。
☆シングレアチュアブル錠5☆

11歳男子K君が、内科診療所を受信した帰りに母親と一緒に薬局を訪れました。    
処方が少し変更になっていましたので母親に確認しますと、K君の母親は次のような質問をされました。

【Q】「時々、寝こんでしまうほどの強い頭痛と吐き気があって、今回お薬を追加してもらいました。
先生は、「アレルギーのお薬」だとおっしゃって居られましたが、うちの子どもの頭痛は「アレルギー」と何か関係があるのでしょうか?
         
【RP(処方)】         
@シングレアチュアブル錠5    1錠         
             1日1回 就寝前 21日分   
Aブルフェン錠100       1錠
             頭痛発作時頓用 1日3回まで 10回分         
Bマクサルト錠100       0,5錠        
             Aが効かない時に頓用 1日1回まで 6回分         

今回変更になっていた処方は、@が追加になっていました。         
【A】新しく追加されたシングレアチュアブル錠は、通常、喘息などのアレルギーの病気に使われるお薬です。         
こちらの薬局では、K君の病名は解らないのですが、処方されているお薬の内容と、K君の症状から考えると、「偏頭痛」ではないか?と思われます。         
シングレアは、偏頭痛の発作を予防をするためにも使われます。         
もともとは、シングレアや同じ種類のお薬を使っていた喘息の患者さんの偏頭痛の発作の頻度が減ったという人がいたのがきっかけで研究が進められ偏頭痛にも使われるようになりました。         
実際に国内で、偏頭痛の患者さんがシングレアを使って偏頭痛の発作が半分に減ったという報告があるそうです。       
先生は、このような効果を期待してシングレアチュアブル錠を処方されたのではないか?と推察されます。         
発作の予防が目的ですので、毎日寝る前に服用して下さい。         
【理由】         
頭痛を主訴に受診する小児は多い。         
「慢性頭痛の診療ガイダンス」によれば、小児の慢性頭痛の代表的なものに偏頭痛と緊張型頭痛がある。         
特に小児の偏頭痛は、しばしば吐き気や嘔吐を伴う。         
K君の場合、母親の訴えるK君の症状や、処方のBマクサルト錠100(トリブタン系薬:リザトリブタン安息香酸)の頓用使用などの処方内容から偏頭痛だと推察できる。         
【偏頭痛発症作用機序】         
「三叉神経血管説」が有力とされている。         
何らかの誘因によってセロトニンが血小板から過剰に放出され脳血管が一時的に収縮、その後反動で「拡張」する。
この刺激により、血管周囲の三叉神経神経末端からサブスタンスPなどが放出され、炎症が発現、「痛み」が伝達されるという考え方である。         
小児は、脳のセロトニン作動性ニューロンが未発達であり、セロトニンの濃度の変動による反応が脳よりも小腸で強く発生する、吐き気や嘔吐などの消化器系症状が発現すると推察されている。         
【偏頭痛の治療薬】         
発作発作頓挫薬と発作予防薬がある。         
小児に対する発作頓挫薬としては、イブプロフェン(商品名:ブルフェン錠他→K君のRPの場合は、A)・アセトアミノフェン(商品名:ピリナジン他)が診療ガイドラインによって推奨されている。         
中でも、イブプロフェンは、第一選択薬とされている。         
これらで効果が得られない場合は、トリブタン製剤の使用が検討されるが、小児への適用は無い。         
小児の発作予防薬には、成人と同様にアミトリプチリン塩酸塩(商品名:トリプタノール(三環系抗うつ薬)他)・バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン(抗てんかん薬)他)・シプロヘプタジン塩酸塩水和物(商品名:ペリアクチン)が適応が使用される。         
シプロへプタジン塩酸塩水和物には、抗セロトニン作用があると推定されており、年少者や消化器系症状が強い場合に選択されることが多い。         
モンテルカストナトリウム(商品名:シングレア錠 K君のRPの場合は、@・キプレス他)・プランルカスト水和物(商品名:オノン他)などのロイコトリエン受容体拮抗剤が発作予防に使用されることもある。         
ロイコトリエン受容体拮抗剤を使用している喘息患者で偏頭痛の頻度の減少が報告された事がきっかけで使用されるようになった。         
【ロイコトリエン受容体拮抗剤の偏頭痛発作予防の作用機序】        
薬剤が血小板表面のロイコトリエン受容体の働きを阻害することで血小板からのセロトニンの異常放出を抑制する作用や、脳血管壁の浮腫による血管透過性の亢進を改善する作用があると考えられている。         
【報告】         
日本頭痛学会誌(2003);30(1):39−41に、減少報告がある。        

出典:日経ドラッグインフォメーション 2009 3