<インフルエンザ>
今回のテーマは「インフルエンザ」です。
☆インフルエンザとは☆
★歴史★
もともとニワトリを含む鳥類の家禽ペストとしてヨーロッパで家禽コレラと混同されていた致死率の高い感染性疾患である。
後年、家禽コレラとは違う疾患であると言う事が解った。
1900年にウィルスが病原体であることがCentanniとSavonuzziにより発見された。
さらに、後年、古典的家禽ペストウィルスの抗原とヒトA型インフルエンザウィルスのそれと一致する事が発見された。
その結果、多くの国々で分離される鳥類に対して強い病原性を持つウィルスも皆、A型インフルエンザに属することが解った。
また、カモなどの水鳥がその腸管の粘膜細胞に、鳥類に対して強い病原性を持たないA型インフルエンザウイルスを高率に保有している事も解って来た。
地球上の全てのインフルエンザウィルスは、この野生水禽が保有するウィルスを起源とする事が明らかになった。
その代表であるカモは、営巣地でインフルエンザウィルスを高率に保有し、糞便中に排泄され、湖沼中に多量のウィルスが含まれる。
秋に渡りのために飛び去った後も湖沼中にウィルスは残り、冬、凍結保存され、翌年春、帰巣したカモは、融解した湖沼水中のウィルスに経口感染して体内で増殖する。
これを毎年繰り返し、自然界にインフルエンザウィルスは存続して来たと考えられる。
ウィルスは、水鳥の腸管上皮細胞で増殖するが、宿主である水鳥はまったく症状を示さず、片利共生関係が成立していると言える。 |
★感染★
飛沫感染で、非常に強い感染力を持つ。
宿主にほとんど危害を加えないインフルエンザウィルスが自然界において偶発的に他の宿主動物に移り住む事があった時、その新たな宿主体内環境は、水鳥に完全適応したウィルスにとっては存続が難しい環境であるため、わずかな確率ではあるが、自らが変異し、新たな環境に適応する物が現れる。
それがニワトリに適応すれば、ニワトリインフルエンザに、ヒトに適応すればヒトインフルエンザにとなる。
ブタに適応したものが、今回話題になっているブタインフルエンザということである。
適応変異の際に新たな宿主体内での増殖能力の獲得が宿主に対する病原性の発現につながるわけである。
その増殖の場所が何れか?によっては、宿主に死をもたらす場合も考えられる。
つまり、ウィルスの強い増殖能が、強い病原性を現すと言える。
近年、過去まったく症状を現さなかった水鳥に対して強い病原性を現すウィルスが確認されている。これも、A型インフルエンザウィルスの宿主適応変異の結果だと考えられている。
過去には、渡り水鳥が感染拡大を引き起こしていたと言えるが、現在、多岐にわたる交通機関の発達に伴い行動範囲を広げる「渡り」的行動を持つ、「ヒト」の習性にこそ感染拡大の原因があると言える。
【感染の地域性と季節性】温帯地域では気温・湿度の低下する冬ほどウィルスの飛沫核が形成されやすくなる為、距離の離れたところでの飛沫感染が成立しやすく、通年、高温・高湿度の熱帯・亜熱帯地域では飛沫核が形成されにくい為、至近距離での飛沫感染、または、接触感染が朱となり流行に季節性が見られなくなるのではないかと考えられている。
★構造★
【A型ウィルスの形状】主に直径80〜120nmの球形
nmは、10のマイナス9乗m=0,000000001m
表面にスパイク構造を持つ。
核たんぱく質とマトリックスたんぱく質の抗原性の違いにより、A・B・Cの三属に分類される。この構造の違いの為、抗インフルエンザウィルス薬のタミフルやりレンザの作用する部位がC型インフルエンザウィルスには存在しない為に、C型インフルエンザウィルスには、抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザは効果が無い。
ウィルスの立体構造・各部位の機能が明らかになる事で、それを阻害する抗ウィルス薬の設計が行われると予想される。
★症状★
高熱・頭痛・筋肉痛・関節痛・全身倦怠感が先行し、咳・鼻汁咽頭通・痰などの上気道炎症症状が生ずる。胃腸障害などの消火器症状に及ぶ事もある。小児、幼児では脳炎・脳症に至る事もある。この場合、咽頭からインフルエンザウィルスが分離されるが、髄液からのウィルスは陰性であり、意識障害を生じ脳症を発症する原因は明らかではない。(高サイトカイン血症関与?)
★私見★
簡単に考えると、もともと自然界の水鳥が持っていたインフルエンザウィルスが、動物を介して変異し、共生関係にあった水鳥にまでも病原性を持つようになり、ヒトに対しても強い病原性を持つようになったと言える。構造上、インフルエンザウィルスは、電子顕微鏡レベルの大きさである為、飛沫感染を防ぐ事は非常に難しく、飛沫核形成を防ぐ為に高温多湿の環境を作る事が有意義であるようだ。また、出来るなら、感染拡大時期に動物やヒトに接触する事は避ける事が賢明である。
☆お客様の疑問にお答え☆
★マスクによる各種粒子補足についての記事から(PT編集部作成)
↑この粒子と言う表現が適切なのか?どうか?私的には良く解りませんが、ウィルスが小さいという事を表現しているという事で記事を紹介します。
基本的に、一般の人への医療用マスクの使用は勧められない。
なぜなら、サージカルマスク(私的解釈:今回のマスク騒動で皆さんがお買い求めの為走り回られた不織布を素材としたマスクの事だと思われます。)着用する医療関係者の呼気中に含まれ、排出される微生物から患者を守る事が目的であり、微粒子の補足効率や密着性は備えていない(私的解釈:ウィルスよりサイズの大きい細菌を「微生物」と表現していると思われます。細菌より小さいウィルスを「微粒子」と表現していると思われます。つまり、医療従事者から排出される細菌から患者を守る事が目的で作られていると言う事になる思います。)
微粒子用マスク(私的解釈:パソコンの精密部品を生産している工場の生産ラインで働く人などが使用していたり、医療従事者が使用していたりするN95の事だと思われます。)は、ある種の空気感染源を補足する(FADに認められたN95マスクによる除去率は、細菌を含む平均4〜5μmの粒子99%、0,1μmの試験粒子で95%を超える。)
ただし、顔に密着させて装着しないと隙間から飛沫が入る。しかし、正しく装着するとかなり呼吸を制限し、呼吸器疾患患者・心疾患患者その他の疾患がある人には勧められない。
上記に限らず、マスク一般に言えることは、一回使い捨てにして、適切に廃棄しないと却って感染源となる。
ウィルスは、サイズが非常に小さいため、単独では体外に飛べず、唾液等飛沫と共に飛散する。
インフルエンザー0,1μm
ウィルスの飛沫各ー≦5μm
平均的な飛沫ー≧5μm
花粉ー20〜30μm(0,02〜0,03mm)
μm=10のマイナス6乗m=0,000001m
mm=10のマイナス3乗m=0,001
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参考文献;医薬ジャーナル社「インフルエンザの最新知識Q&A」
PT ;PharmaTribune
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